新見正則・白杉望による下肢静脈瘤のはなしと血管疾患のはなし このサイトについてサイトマップ
       
 

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[詳細]下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは

静脈の弁不全による表在静脈の拡張・蛇行。原因は静脈弁の機能不全です。

動脈と静脈

血液の通路

心臓から血液が臓器や組織に送り出される通路が動脈です。心臓がポンプの役割をはたすため、動脈内の血液は重力に逆らっても上昇することができます。一方、末梢の臓器や組織から血液が心臓に戻る通路が静脈です。

静脈の弁

では、なぜ、心臓のポンプ作用が働かない静脈内で、下肢の静脈血は重力に逆らって、心臓にもどることが出来るのでしょうか。ひとつは”ところてん”の原理です。動脈からは絶えず血液が組織に流れ込んでいますので、静脈にも組織から血液が絶えず流れ込みます。静脈はぱんぱんに膨れ上がり、静脈を心臓にもどすのです。棒立ちのときなどこの”ところてん”の原理がはたらき、静脈血は心臓に戻ります。一方、下腿(膝から下)の筋肉が収縮すると、静脈は筋肉に圧迫され、血液は心臓方向に進みます。ここで、静脈内には弁があり、血液が末梢より中枢には進むが、逆戻りしないような工夫が施されているのです。筋肉を適度に使用すれば、”ところてん”作用からは解放され、静脈の過度の拡張は防止できます。

静脈が過度に拡張し、静脈弁が壊れた状態が下肢静脈瘤の原因です。

下肢静脈の解剖

キーワード:深部静脈、表在静脈(大・小伏在静脈)、穿通枝

下肢の静脈は、筋肉内の深部静脈と筋肉と皮膚のあいだの表在静脈に区別されます。表在静脈は、皮下の血液を心臓に返す役割をはたすのですが、下肢には2つの表在静脈の本管があります。
下腿内側を上昇しそけい部(あしの付け根)で深部静脈に合流する大伏在静脈と、下腿の後方を上昇し膝の後方で深部静脈に合流する小伏在静脈です。
表在静脈と深部静脈には細い穿通枝がいくつも存在し、表在の血液を深部静脈に送っています。
そして、それらの静脈には静脈弁が多数存在し、深部の血液が表在に逆流しないようになっています。
つまり、大伏在静脈・小伏在静脈・穿通枝の静脈弁の不全が下肢静脈瘤の原因です。

 
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