1990年以前は本邦に硬化療法が導入されておらず、治療は弾性ストッキングの着用による保存療法か、ストリッピング手術でした。ストリッピング手術は以前より健康保険で認められていますので、混乱はありませんでした。ところが、1990年代から、硬化療法が徐々に普及してきました。それに伴い局所麻酔による高位結紮術も行われ始めました。しかし、硬化療法も、高位結紮術もその時点では健康保険には認められていませんでしたから、混乱が生じたわけです。日本の保険制度では、ひとつ疾患に対する治療を健康保険と自費診療で分割することは禁止されています。ですから、病院が硬化療法や高位結紮の請求を控えるか、すべての治療を自費で行うしか合法的な方法がなくなってしまいました。幸いなことに、下肢静脈瘤に対する硬化療法が、1998年に保険適応に認められ、また、高位結紮も2000年に保険適応に認められましたので、この本で説明されているすべての治療は現時点では健康保険にてカバーされています。
健康保険診療では、行政が決めた保険点数に基づいて、診療報酬がきまりますので、検査の違い、麻酔の違い、入院日数の違いなどで小さな増減が生じますが日本全国どの病院でも、また誰が治療を行おうとほぼ同じ金額です。ひとつの目安として、静脈瘤の治療のなかで一番高額なストリッピング手術を両足に行い4日入院すると、病院が請求できる金額は約50万円です。欧米では軽く100万円を超える施設もあります。日本の健康保険は7割を負担してくれますので、みなさまへの請求額は50万円の3割、約10数万円となります。
高位結紮術は一カ所、約3万円です。薬代などを加えて、みなさまへの請求額は1万円強でしょうか。
硬化療法は、片足1万数千円です。みなさまへの請求額は数千円となります。 |